第七十三話 幸せのブーケ

(改)2019/08/30
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 場所はローレッタ聖王国の王都アヴァロン――ハール教の神殿に近い貴族御用達のティールーム。俺たちはお茶を楽しみながら午前中いっぱいは時間があるので、ここで時間を潰しているところだ。
 俺はメテオライトに暇を見て書き出してもらっている【漆黒のレギンレイヴ】のシナリオに目を通している。
 ミシェルは同じく書き出して貰っている【レギンレイヴ・リコレクションズ】を読んでいた。俺が覚えている範囲だけになるが、システムなんかを教えたりもしている。

「私もリコレクションズで遊びたかったです」

 邪竜ロキとの戦いから約一年経った今日。グレアム王子が戴冠し聖王となったのに続き、王妹となったフェイス様の婚姻の儀が行われる。
 現在は王族と司祭たちだけの儀式の最中で、正午を過ぎてからのお披露目の時間まで俺たちは目通りが叶わない。

「ミシェルの前世はリコレのサービス開始前に死んでるんだったな。そのうえ漆黒はミリ知ら状態だもんな」

 氷花はその鬼畜難易度から、前世のお兄さんたちに止められていたと聞いていた。しかしリコレに関しては、あの戦いが終わってから「そういえばなんでルイス王子以外にも、知っている声優さんが付いておりますの?」と聞かれたのが切っ掛けだ。
 ルイス王子は別作品にもゲスト参加しており、その時に声が付いている。

「そういえば聞き忘れていたのですが、エリアスの声は鈴木。テオの声は斎藤姐さん。オニキス様は高橋兄貴ですけど、お師匠様の声ってどなたでしたの?」
「マーリンの声はデビューしたての新人さんだよ。調べた時に出てきた役も生徒Aとかばっかりだった」
「まあ、そうでしたの。でもとてもいい声ですわね」

 ミシェルは前世で夢小説に嵌っていたと同時に声優さんも好きだったらしい。俺は好きな作品に出ていた人くらいしか分からないのだが、彼女はなかなか詳しそうだ。

「まあ、あなたの声が一番ですけどね」

 そう言いながらミシェルは俺の肩にもたれ掛かる。本当は寂しがりやな彼女のことだから、俺の小さな嫉妬にも気づいてくれたのだろう。子猫のようにすり寄ってくる姿が愛らしい。

 今の俺の立場はミシェルの婚約者候補の有力株だ。とはいっても殆どの人間が俺とミシェルの睦まじさを目の当たりにして、辞退ないしは遠慮している。なので実際は俺がプロポーズすれば婚姻まで進められるだろう。
 問題は納得いく指輪がまだ用意できないことだ。大公が奥方に送った指輪のように、俺もミシェルに思いの詰まった指輪を贈りたい。

 正午を告げる鐘の音が響くと、俺たちは神殿に向かう。神殿の敷地内は淡い色合いの花とリボンで飾られており、花びらの入った籠を持つ僧侶たちが扉の側に立っている。俺たち二人は僧侶たちから籠を受け取ると、並んで扉の脇に立つ。向かい側にはメレディスたちが同じように立っていた。

「フェイス様の花嫁姿、楽しみですわね」
「そうだな」

 ウエディングドレスの仕立て時は護衛とはいえ男の俺は同席していなかったし、ミシェルも魔導兵団での仕事で来ることが出来ずにいた。なので本当に楽しみである。

 次々に参列者が集まったところで、お披露目の時間となる。司祭様が口上を高らかに読むと荘厳な扉が開かれ、新郎新婦であるフェイス様とオニキスが姿を現す。

 皆が口々に祝福の言葉とフラワーシャワーを投げかける。中には感極まって泣いているものもいるようだ。ミシェルも勿論感動しているようなのだが、どちらかというと――

「見て! エリアス見て!」

 一言でいうなれば『尊い』――この一言なのだろう。最低でも月一で開催される【フェイス様の美しさと優しさと聡明さを語らう会】での彼女に負けず劣らずの賞賛っぷりである。しかもドレスを飾る刺繍の模様や、花々の解説までしてくれる。

「さすがはフェイス様。意匠一つにしても完璧ですわね」

 お披露目は滞りなく進み、後は軽い立食パーティが庭園で行われる。順にだが新郎新婦と歓談も出来るそうだ。だがその前にブーケトスが行われるようだ。
 庭園にある東屋《ガゼボ》には未婚の女性たちが並び、今かいまかと待ち構えている。その姿は見ていて鬼気迫るものを感じた。俺の知っている女性陣で参列しているものは殆どが既婚、ないしは決まった相手が既にいる。なので見知らぬ令嬢がほとんどだ。

「フェイス様のブーケ取らなくていいのか?」

 しかし一回限りしかないフェイス様の結婚式のブーケトスだ。ミシェルはこれを取りに行かなくていいのだろうか。単純にそう思い聞いてみただけなのだが――

「私としたことがっ!? フェイス様のブーケ~!」

 ミシェルが慌てて女性たちの群れに飛び込もうとしたところで、東屋に居たフェイス様がブーケを投げた。
 高く弧を描き飛んできたブーケをミシェルがキャッチすると、勢いが余ったのかバランスを崩して地面へと倒れこみそうになる。俺は彼女が転ばないようにと、その身体を支えた。まるで羽根のように軽いミシェルの身体が俺の腕の中にすっぽりと納まる。

「そういうわけで次の花嫁は私だから、頑張ってくださいな」
「勿論。俺は必ず君にふさわしい男になるよ」

 手にしたブーケを見せてくるミシェルの手を取る。そのまま、どちらからともなく口付けを交わした。
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第七十二話 隠し事の正体

(改)2019/08/30
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 腕の中にミシェルを抱えたまま、俺は皆と一緒に地下神殿を後にした。地上に戻ると待機していた仲間たちが迎えてくれる。
 ルイス王子の婚約者であるブリジットは余程心配だったのだろう。大粒の涙を流しながらルイス王子に抱き着き、無事を喜んでいる。

「エリアス。お疲れさん!」

 城内とは言え、地上の明るさに眼を慣らしているとロビンが近づいてくる。両手には今にも零れ落ちそうな数の傷薬が抱えられている。
 一緒に残っていたメレディスはというと、フェイス様のほうに行っているようだ。向こうのほうで抱き合っている姿が見える。

「ミシェルは一体どうしたんだ? 怪我をしてるわけじゃ無さそうだけど……」
「邪竜を封じたと思ったら安心して腰が抜けただけです」

 ロビンの質問に間髪入れずにミシェルが返答する。今の今までずっと顔を埋め隠したままだったというのに、そこにはいつも通りの彼女が居た。

「そういえばメテオライト王子から伝言を預かっていたんだ。エリアスとミシェルに話があるとかで、東にある庭園で待ってるってさ」

 それじゃあ邪魔者は退散と付け加えながら、ロビンはメレディスのもとへと戻っていった。事後処理などは待機していたものたちで殆ど済ませていたようで、あとは残っている友好的な竜族との交渉くらいだろう。それに関しては王族たちの仕事なので任せるしかない。
 地下神殿から戻ってきたものたちは、それぞれ仲間に合流し身体を休めるようだ。なので今ここで外に行っても何ら咎められることは無いだろう。
 それに先ほどまでは戦闘続きで出来なかったが、メテオライトには聞きたいことがあるので丁度いい。

「そういえば【月虹のレギンレイヴ】のシナリオは終了したわけだし、テオの隠し事を聞けるんじゃないか?」
「いったい何を隠しているのかしらね?」
「実は宇宙人とか」
「隕石《メテオライト》だけに?」
「そうそう」

 いつかミシェルが聞いていたメテオライトの秘密。こんな風に揃ってお道化たやり取りをしているが、考察や萌え語りには参加してこないが知識は圧倒的となるとなんとなく察しはついてくる。
 過去に一度、レギンレイヴシリーズ公式からスタッフに不幸があったという知らせが掲載されていたことがある。【漆黒のレギンレイヴ】の制作発表後まもなくで、黒やんがその死を悼んでいたのを覚えている。たしか彼が入社するにあたって世話になったというプログラマーさんだ。彼であれば設定資料集にも未掲載の没になったアイテムなども知っていておかしくはない。

「なあ、ミシェル。なんか目立ってるし、そろそろ歩かないか?」
「あらあら、お姫様抱っこは乙女の憧れでしてよ?」

 お姫様抱っこのまま廊下を進み歩いていく。彼女の体重はさして問題ではないが、すれ違う兵たちから羨望の眼差しが痛い。一番痛いのは、どこかに隠れていると思われるヘルゲの視線だ。

「私にとって初めてお姫様抱っこですもの。もう少し抱いていてくださいな」

 そういって頬に口付けられる。これはもう周りの視線など気にせず、堂々とイチャ付くべきなのではないだろうか。原作ゲームでも戦場のど真ん中で恋人とイチャ付くのが俺なのだから何らおかしくないはず。

「ねえ、エリアス……私は今まで、大陸最強の魔導師を目指して研究に明け暮れていました。ですが平和になったのなら、少しは減らしても問題ありませんわよね?」
「魔導の研究が趣味なんじゃなかったか?」
「デートの時間を作って差し上げると言っているんです」

 ミシェルは少し頬を膨らせながら、白い肌を真っ赤に紅潮させている。今までにないほど甘えモードだ。

「フェイス様についた虫は払う必要も無いですし」
 それに、と続け――
「オニキス様は私が千切って投げられませんもの」

 庭園と呼ぶには草木がほとんど見当たらない寂しい場所、そこにはメテオライトが立っていた。少し離れた場所にはヘリオドールとジェイドが控えている。

「やあ、お疲れ様」
「ああ。石拾いは終わったのか?」
「どうにかね」

 そう言って袋から取り出し見せてきたのは、綺麗な球体――ではなく少し欠けある黒い宝珠だ。

「欠けている部分は、今までの戦場に出ていた合成獣《キメラ》の体内にあったんだろうね。別で保管している君たちから預かった分を足しても完成はしなさそうだ」

 合成獣は最初の一体であるハイドランジアの山道と、リリエンソール渓谷から王都アヴァロン手前までの戦いで姿を見ている。メテオライトに渡してあるのは前者の石なので、後者のほうは今さら過ぎて回収は難しそうだ。

「ところでこの状況はツッコミ待ちなのかい?」
「お姫様抱っこは乙女のロマンなのよ。テオもエルナさんにして差し上げなさいな」
「ええ~、エルナの性格的に吊り上げられた魚みたいになりそうなんだけど」

 いつも通りのやり取りをしたところで本題に入る。黒い宝珠の件は話が終わったのなら彼の秘密を知りたい。

「それはそうと、テオ。【月虹のレギンレイヴ】のシナリオが無事に終わったらの約束じゃなかったか?」
「そうです。隠し事などせず、いい加減すべて白状してくださいまし」
「僕の隠し事――正体とでも言うべきなのかな。そうだね……『レギンレイヴシリーズを誰よりもよく知り、愛した男』ってところだね」

 メテオライトが言ったフレーズは、レギンレイヴシリーズ十五周年記念のインタビューに掲載されていた一文だ。SNSのプロフィール欄なんかにも書かれている黒谷累《くろやるい》のキャッチフレーズ的なものである。

「ど……どうりで萌え語りに参加してこなかったわけですわね」
「ああ、そっちか。なんか温かい目で見てくることがあったのは、それが原因か」
「そっちか、ってエリアスは僕を誰だと思ってたのさ」
「プログラマーさんかと……」
「ああ、鷺沼《さぎぬま》さんか。でも残念、黒谷《くろや》でした~」

 そういってメテオライトは殴りたいまでの良い笑顔を見せた。しかし初めて会った時のように人を小ばかにしたような表情の下に、どこか慈愛に満ちた表情は毒気が抜かれる。
 こうなれば【漆黒のレギンレイヴ】のシナリオを書き出してもらおう。そうしよう。
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第七十一話 月虹のレギンレイヴ

(改)2019/08/30
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 神光アルヴィトは最初に生まれた神器というだけあって他の神器よりも攻撃力が高い。なので契約者であるフェイス様が先陣を切って戦ってくれれば邪竜ロキとの戦闘も楽になるだろう。
 しかしフェイス様は聖王国の王女という立場だ。今回の戦乱が起こるまでは戦場などとは無縁の貴人でしかなかったのだから、恐怖で動けなくなってしまうのは仕方がない。本来であれば臣下である俺かミシェルが近くに侍っているべきなのだが、戦闘を長期化させるよりは速やかに終わらせて落ち着いてもらうのが一番だろう。

 少し離れた場所では少しづつだが落ち着きを取り戻したのか、恐慌状態だった二人がある程度だが動けるようになっているのが見える。治療を済ませたフェオやラーグたちもこちらに合流し、邪竜ロキへの一斉攻撃が開始された。

「エリアス殿。さっきはありがとう。お陰で冷静になれたよ」

 フギンたち二人を護るため、邪竜ロキの前に立った時と同じようにルイス王子と並ぶ。その表情は怒りに駆られていた先ほどとは比べ物にならないほど落ち着き払い、慈愛に満ちた表情をしている。
 フェイス様も一緒に移動してきたようで心配したミシェルが支えるように立つが、こちらも戦う覚悟ができたと言ったあの時と同じ決意に満ちた表情だ。

「六百年以上の年月を経てなお、邪竜ロキは他者を信じることも狂うこともできずにいる」

 神剣スクルドの刀身に額を付け祈るようなポーズをとるとルイス王子は再び、邪竜ロキとあいまみえる。

「彼にとって数百年の眠りというのは短いかもしれない。でもいつか救いが在ると信じて、僕はこの剣を振るおう」

 俺の持つ聖剣もルイス王子が持つ神剣も普通の竜族は殺すことができても、神格を有する竜族には一時的な眠りのみしか与えられないことを解っているのもあり憐憫《れんびん》の目を向ける。

 一歩おおきく踏み込むと一気に距離を積める。四方から攻撃されている邪竜は、それぞれ対応が間に合わずにいるのか弓と魔法による攻撃には反撃ができていないようだ。
 しかし邪竜ロキの足元にはオニキスとオブシディアンはダメージを一身に受けているのか、一度下がらせたほうが良さそうだ。幸いなことに兵種《クラス》:賢者《セージ》が三人もいれば治療も早く済むだろう。

「オニキス将軍、オブシディアン将軍! 一度後退し治療を――」
「まだ不要です。それよりも今は邪竜を」
「帝国が暫く大人しくなるというのであれば、ここで散るのも本望」

 ルイス王子がシスル騎士二人にそう声掛けするも、あっさりと断られる。確かに下手に後退するよりも一気に決着を付けるのはシリーズのラスボス戦の定番だ。全員でタコ殴りにして1ターンキルが出来るのであればそれに越したことは無いが、前世の経験からすると3~5ターンは掛かっていた。
 しかしさすがに前衛で戦っていると、こちらの攻撃時の反撃に、敵ターンの攻撃と受けるダメージが多い。

 オブシディアンは兵種スキル【守備方陣】の味方隣接で守備が上昇しているからダメージの軽減が出来ているのだろう。オニキスもHPと守備が限界突破しているから耐えられるだけで、実際はギリギリの場所で立っているのではないだろうか。

 少し後方から魔法攻撃を繰り出しているマーリンに目配せすると、今まで邪竜を殴るのに集中していたのだろうか魔導書から杖に持ち替えて接近してくる。
 ラーグにはそのまま遊撃に回ってもらい、ミシェルとマーリンで二人の治療を手早く済ませてもらう。治療中は余り動き回れないことから俺とルイス王子が前衛に立ち邪竜と対する。

「ちょろちょろちょろちょろと……小さき体で目障りだ!」

 転がるように邪竜のブレスを回避しつつ近づき聖剣を突き立てる。ルイス王子も同じように攻撃を繰り出し、邪竜の尾を切り落とすことに成功した。
 しかしまだ決定打には程遠い。動ける皆で殴り掛かっているというのに邪竜ロキの動きには、まだ余裕を感じる。

 ルイス王子とマーリンのスキル効果でステータス面は問題ないのだが、持久戦になると不味い状況になるのは変わりないだろう。
 だが後方から、持ち直したばかりのフェイス様が合流してくる。その手には白く輝く宝珠が握られている。

「月虹のレギンレイヴよ――邪悪な竜族を封じたまえ!」

 フェイス様が手に持ち掲げた宝珠の力で邪竜が弱るのが解った。本来このイベントは終章開始時に条件を満たしていれば勝手に起こるものだ。しかし先ほどの邪竜の復活時にフェイス様が動けなくなってしまったのもあって、イベントの発生が遅れてしまったのだろう。

 しかし邪竜ロキの動きが明らかに鈍った。氷竜族が生み出した宝珠の力で抑え込むことができた今が最大のチャンスだ。
 皆で畳みかけるように攻撃を加える。神器による波状攻撃に、邪竜ロキは大きな咆哮をあげ悶え苦しむ。

「ルイス王子、邪竜ロキに止めを!」

 神格を持つ竜族は死という概念から外れている。なので止めといっても一時的な封印を施すだけの子守歌のようなものに過ぎない。
 そしてシミュレーションRPG【月虹のレギンレイヴ】の主人公はルイス王子だ。ラスボスである邪竜ロキを倒す役は彼以外に居ない。俺は叫びルイス王子に伝えると、応えるように神剣スクルドを構えるのが見える。

「孤独で哀れな氷竜族の老人よ。再びの眠りにつくといい」

 ルイス王子が最後の一撃を叩きこむと、神剣スクルドが纏う神気が広がる。恨み言を発する邪竜ロキの身体は切りつけられた場所から少しづつ、ぶ厚い氷に包まれていった。

「君にも友と呼べる存在がいれば神話の時代から現代に到るまで、こんな悲劇は起こらなかったのだろうね」

 地下神殿で共に戦った仲間たちはそれぞれ、近くにいるものと勝利の喜びを分かち合ってる。
 これでローレッタ大陸も平和が戻る。これまで全部が原作通りとはいかなかったが、残りは平和に過ごせるはずだ。そう思ったら嬉しくて、この喜びに任せて勢いでミシェルに求婚してしまいそうだ。 
 しかし同じくこちらへと近づいて来てくれたのか、ミシェルがすぐ近くまできて倒れこんだのだ。

「ミシェル?」

 もしやどこか怪我でもしているのかと心配になり駆け寄る。しかし目立った外傷は得に見当たらず、ちらりとこちらを覗き込んでくる彼女の表情は心なしか恥ずかしげだ。

「あのね……少し手を貸していただけるかしら?」

 途中途中で治療を挟んでいるはずだから都度、大きな怪我があったら治療はしているはずだ。後衛に居たから尚更、少ないはず。なので足首でも挫いたのだろうかと思い、膝の裏に腕をやって抱き上げる。

「捻ったのはどっちの足だい? マーリンに診て貰おう」
「違うの。とくに怪我はしていなくて、あの、その……安心したら、気が抜けてしまって……ううっ、恥ずかしい」

 そう言って俺の首に腕を巻き付けると、真っ赤に染まった顔を胸に埋め隠してしまう。彼女からは、うっすらと花の香りが漂った。
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第七十話 復活の邪竜

(改)2019/08/30
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 アンデッドの相手を魔導士たちに任せながら俺たち物理攻撃勢は通常の魔物を倒しつつ屍竜《ドラゴンゾンビ》へ迫る。
 屍竜のブレスは氷竜や火竜に比べると射程が短い。その代わりに毒を寄こしてくるのだが、毒を食らったとしてもアガーテがキュアの杖を持っているから問題ない
 流石に敵の数が多く、肩で息をしている者も数名見当たる。しかし、あと少しで最後の屍竜に攻撃が届く距離まで迫ったその時だった。
 歓喜とも憎悪ともとれる咆哮を上げながら、邪竜ロキは長い年月をかけ弱まった封印の呪縛を振り解き祭壇から降りてきたのだ。

 邪竜の力と自由を抑え込んでいた封印が完全に解けたのだ。それに伴い数人が恐怖に包まれたようで行動不能に陥っている。
 オニキスとアマンダは流石に素早い対応でそれぞれフェイス様とアガーテを連れ退避している。しかし竜の姿をとっていたフギンたちはその巨体のせいで回収のしようが無い。

「二人とも、大丈夫だ! 僕たちが一緒に居る!」
「歩けるようなら少しずつで構わない、皆のところまで退避するんだ!」

 フギンたちは俺たちと邪竜ロキの間に立つ形で立ち竦んでいる。このままではマズいと走り出したのは俺だけではなかったようで、隣には神剣スクルドを携えたルイス王子の姿があった。

「ハールどもの助けが無ければ、我らと渡り合うことも出来ぬくせに威勢だけはいい」

 フギンたちの前に庇うように躍り出た俺たち二人を一瞥すると、邪竜ロキは忌々し気な視線を寄こしてくる。
 特にルイス王子はアイリス王国の初代国王でもあるベオウルフの面影を残す少年だ。邪竜ロキがそういった視線を向けてくるのも無理はない。

「そういえば大昔にも貴様と似たような目をした小僧がいたな。さして強くも無いくせに、聖者と持て囃されておった狂人の隣に立っていた騎士などという下らぬ生き物……はて、名は何だったか。人間どもの名は覚えづらくて困る。まあ、取るに足らぬ存在であろう。近くに居た赤子ひとりも救えなかったような輩だからな」

 この挑発はルイス王子をピンポイントで煽る小芝居だ。恨みっぽい邪竜ロキが相手の顔と名を忘れるはずが無い。その証拠に神話に登場した邪竜ロキを退治する勇者たちの名は、終章で対応する神器持ちと戦闘になったときに邪竜ロキの口から聞くことが出来る。

「確かに僕たち人間は弱い。君たち竜族からみれば、ちっぽけな存在かもしれない」

 ルイス王子は神剣を構え直す。彼の剣技は下段に構えることが多いのだが、珍しく上段の構えだ。これはもしかして原作ゲームにあったルイス王子専用の必殺時モーションなのではないだろうか。呼吸を整えるように一つ瞼を閉じたあと、再びその眼を開き勢いよく邪竜ロキに切りかかる。

「それでも! 誰かのため精一杯に生きているのを、たった一つささやかな幸せを踏みにじろうとするお前は許すわけにはいかないんだ!」

 まだ後方の屍竜が残っている以上、二正面での戦闘は危険が伴う。ルイス王子は素早い動きが得意なので今更引き留めるのは不可能だろうし、逆に危険だろう。ならば一撃叩き込んだ直後に、邪竜ロキが怯んだ隙をついて首根っこを掴んででも退避させるしかない。
 怒りをパワーにすることは悪いことではない。しかしこの後の戦闘でも指揮官として冷静な判断を下してもらうためにも、ルイス王子には少し頭を冷やして貰ったほうが良い。

 ルイス王子の持つ神剣スクルドが邪竜ロキの足を切り裂くと、その拍子にバランスを崩したのか大きな体が派手に傾く。その巨体に押しつぶされる前にルイス王子の上着の襟首を掴み、マーリンたちが居るほうへと勢いよく放り投げる。俺自身もその場を離脱ようと足を動かす。
 しかしさすがの邪竜もただでは後退させてくれないようで、固い鱗に覆われた尾が勢いよく迫りくるのが見える。
 回避は不可能だと判断し防御の体制を取る。片腕が折れて使い物にならなくなるかもしれないが、守備動作に入らないよりはましだ。

「ぐっ!」

 貰っているバフが多いのもあったのか骨折は免れた。その代わりにそう何度も受けるのは危険そうだ。
 攻撃を受けた時に衝撃を受け流しながら聖剣テミスで切りつけたが、ローレッタの神器のようなダメージが出ないのは原作通りである。こればかりは補正比率の問題なので仕方ないのかもしれないが、こんな時ばかりは黒やんに恨み言の一つでも言ってやりたくなる。

 転がるようにその場を離脱し邪竜の攻撃範囲から離れる。邪竜ロキの攻撃手段の中でブレスだけは射程が弓と同じくらい長い。目測になってしまうが、これだけ離れれば問題ないはずだ。

「何かと思えばその剣。大昔にかの邪神を封じ込めた剣か」

 俺が聖剣で切り付けた場所を見ながら邪竜ロキは何かを企んでいる。間違いなく俺を煽るための言葉を出してくるのだろう。

「たかだか千数百年でここまで劣化するなど神竜族の聖剣も大した力が無いな。太古の勇者に比べたら貴様の攻撃など羽虫に刺された程度よ」

 アンティークだなんて言葉では言い表せないほどに古い聖剣に対して、これは寧ろ正論なのではと感心してしまうところだ。しかし後ろからマーリンとシスル王国騎士の二人が怒りを孕んだ視線を向けているのを感じる。
 なるほど。俺以外への有効な挑発だったか。前世の記憶があるのだからオニキスは引っかかるなよと思ったが、さすがにこの三人は感情に任せて切り込むようなことはしないようだ。
 マーリンに関しては下がらせたばかりのルイス王子を窘めている最中だったのもあって、いっそう冷静さを保とうとしているのだろう。

「そういうお前こそ、もう仲間の竜族がいなくなってるぞ?」

 背後から聞こえてくる最後の屍竜が倒れ伏す音を確認したところで、俺は邪竜ロキにそう切り返す。
 邪竜ロキには熱狂的な信者という存在がほとんど存在しない。原作ゲームからして皇帝家は彼の血をドーピングアイテム程度にしか見ていなかったし、魔女キルケもマーリンへの復讐に丁度いいと身を寄せていただけに過ぎない。
 そしてローレッタ軍は、ここに辿りつくまでに帝国に住まう全ての竜族を殺し尽くしたわけでもない。慎ましく平和に暮らすことを求めるものや、氷竜族や神竜族のようにこの大陸から去ることを考えているものも居たそうだと聞いている。

「我に仲間など不要ぞ。我はロキ。邪《よこしま》を司り、愚かな人間たちに絶望をもたらす竜」

 邪竜ロキは再び大きな咆哮をあげると、勢いよく辺りにブレスをまき散らす。尾撃《ドラゴンテイル》と違い、邪竜の息吹《ブレス》は直撃すればHPが最低でも半分は吹き飛ぶ威力がある。邪竜ロキは今までに登場したどんな敵よりもステータスが高いので、ルイス王子やマーリンからのバフと、ローレッタの神器による補正があってやっと倒せるくらいの敵だ。
 さて、これを俺の補正を貰って上がっているはずなのに、高ステータスの邪竜に殆ど打ち消されている回避率でやり過ごせるだろうか。

「エリアス殿!」

 俺を庇うようにオニキスが飛び込んでくる。おそらく聖騎士《パラディン》のスキル【護衛の心得】で俺と邪竜の戦闘に横入りし、代理で戦闘を行ったのだろう。邪竜の息吹による周囲への固定ダメージばら撒きの被害分しか俺のHPは減少しておらず、オニキスは満身創痍とまではいかないが結構なダメージを受けているように見える。

「オニキス殿!」

 流石に心配になり軽く膝をついたオニキスに手を貸しにいく。しかし俺の心配をよそに、オニキスは神槍を支えに立ち上がるとやる気に満ち溢れた表情を見せる。

「私の心配は無用だ。この痛みも含め、邪竜ロキにはしっかりと反省していただこうか」
「オニキス殿、地上で待つメテオライト様への手土産は邪竜ロキの首で良いだろうか?」

 彼らが信仰する女神を侮辱されたことにかなり腹を立てているようだ。オニキスより少し遅れてこちらに合流してきたオブシディアンが、ただでさえ怖い顔をさらに恐ろしくしている。

「あれが二度と口を開かぬよう焼き付けるのは任せて貰おう」

 もともと所属が一緒の騎士二人は当たり前として、同じく合流してきたマーリンまで見事な連携で邪竜ロキに攻撃を繰り出している。軍神であるハール神よりも正義と秩序の女神の信徒のほうが好戦的なのは如何なものかと思うが、それだけ彼らは熱狂的な信徒だという事なのだろう。

「あの程度の挑発に乗るだなんて馬鹿なことはしないと判っていたけれど、馬鹿にされっぱなしと言うのは気に入りませんわね。オニキス様たちだけで倒しきってしまわないうちに、もう二・三撃くらわせて差し上げなさいな」

 俺の怪我を治療しながらミシェルがいう。俺たちは二人とも原作では散々な言われようの性能だったが、なんやかんやで最後の戦いにまで参加している。ここでもうひと踏ん張りすれば、向こう数百年のあいだローレッタ大陸は平和になる。

「たしかに。信徒の三人があれだけ怒ってくれているのに、加護を貰っている俺が『ああ、そうですね』は良くないな」
「さあ、私たちも参りますわよ!」
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第六十九話 暗闇の彼方

(改)2019/08/30

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 階段を降り始めて間もない辺りで、フギンたちから連れていかない方が良いと言われ兵たちと分かれたのもあり持ってきた光源は心許ない。
 彼ら双子がこの助言をしたのは原作ゲーム通りだ。邪竜ロキには【暗闇の彼方】というスキルがあり、近くに居る神器を所持していない或いは竜族ではない相手を従属させる力を持つ。
 ゲームではこの地下神殿の中だけが範囲だと言われていたので、この世界でもそこは変わらないだろう。
 前世では初見プレイ時にこのセリフをよく読まず、普通の武器しか持っていなかったベルトラムやゲールノートを出撃させて酷い目に遭ったことがある。なのでこの先は神器を持つものと竜族の双子だけで乗り越えなければならない。

 薄暗い階段を下り辿り着いた場所は岩肌を切り広げただけの空間だ。壁にはいくつかの松明が掛けられており、奥の祭壇に座す邪竜の影を微かに映し出す。
 侵入者の気配に気が付いたのか邪竜ロキは首を擡《もた》げこちらを睨みつけたかと思いきや、先ほど広間で聞いたよりも大きな咆哮をあげる。そのまま祭壇の上で神話の時代に施された封印を壊そうと暴れているようだ。
 この封印はバッドエンドに進んでいなければ5ターン目に破壊される。この世界では原作ゲームよりも早い段階で物語が進んでいるから、1ターンがどれくらいの時間かは解らないが破壊までの時間は少しは伸びるだろう。

「あれが邪竜ロキなのか?」
「僕たちは直接あいつを見るのは初めてだけど、この気は間違いなくロキだよ」
「昔は怖くてハールさまの背後に隠れていることしか出来なかったけど、このねっとりと張り付くような嫌な視線は覚えているわ」

 ルイス王子が双子と話しながら邪竜ロキと周辺の様子を伺っていると、過去に遭遇した経験があるフギンとムニンは少し体を強張らせた様子を見せながら小さく首を縦に振った。

「しかしあれは本当に理性ある竜族なのかい? 錯乱しているようにも見えるよ」
「ああいう風に動けばルイスみたいに優しい人が油断するって知っているからよ!」
「ルイスは騙されちゃダメだからね!」

 その様子を横目に確認しつつ、俺は原作ゲームにもあった魔物の召喚陣を探す。
 終章では薄暗いマップ内の三方向に一か所ずつ魔法陣が存在する。その魔法陣からは毎ターン魔物が出現し、種族自体はその辺に出現するモーザドゥーグやトレントのような雑魚が主体なのだがなにぶん数が多い。マップ上に最大で何体まで出現するのか試したと動画を投稿していたプレイヤーによると250体で打ち止めだそうだ。

 それはさておき、この魔法陣は味方ユニットを待機させると破壊できる。しかし各所には魔法陣の番人が設置されているのだ。屍竜《ドラゴンゾンビ》と呼ばれる終章にのみ出現する魔物で、三体とも異なる性質を持つのが特徴だ。
 まず一番近くの屍竜は物理攻撃によるダメージを無効化してくる。向かって奥、右側には魔法攻撃によるダメージを無効化してくる固体。反対側の左奥には毎ターン、魔法陣とは別で大量のアンデッドを追加召喚してくる屍竜が配置されている。

 ゲームと違い室内の奥行きが解らないが邪竜ロキの手前に立っているはずの物理ダメージ無効の屍竜が見当たらないのであれば、これから姿を現すのかもしれない。

「忌まわしきハールの子らめ……下等種族の分際で、この我に刃向かうか」

 発狂したふりが効かないと見たのか、スイッチを切り替えたかのように冷静になった邪竜ロキは片手をあげると周囲に魔法陣が散った。
 おそらくこれが屍竜と魔物を召喚する魔法陣なのだろう。俺たちのすぐ手前に設置された魔法陣からは無数の魔物が召喚され、その最後尾にはこれまで見たよりも一回り以上は巨大な竜の慣れの果てが姿を現した。奥のほうにも怪しく光る双眼が何組も見える。

 マーリンの助言を受けたルイス王子の指示で、まずは一番近くの屍竜を倒すこととなった。
 しかしこの屍竜は魔法攻撃しか通用しない。なので俺たちはなるべく分散しないように、お互い背中を預けながら代わる代わる通常の魔物を相手取り、魔導士たちの攻撃が屍竜まで届くよう道を作る。

「さあ、参りましょう」
「私の魔導、御覧にいれますわ」

 俺たちが開いた後ろに続くようにフェイス様と並びミシェルが進んでくる。別の方角にはマーリンとラーグが屍竜を目指し進んでいるのが見えた。
 騎兵たちはその機動力を生かして離れすぎない程度に進んでは戻り、この地下神殿の奥行きを調べているようだ。

 光が氷が舞い踊り魔物たちを巻き込みながら一体目の屍竜を襲った。それに続くように他の魔導師たちの攻撃が飛び交う。
 邪竜は祭壇から移動してこないはずだから、このままセオリー通り攻略していけば問題ないだろう。
 しかし奥の魔法陣から召喚された魔物たちがこちらに辿り着く前に片付けられるかが問題だ。

 屍竜は外見も通常の竜族より大きいが、そのぶんなのかHPも増えている。最低限この屍竜だけでも倒しておかないと万が一、俺たちが撤退することになった場合に退路が塞がれてしまうだろう。
 出来るだけ早く奥の二体も処理し魔方陣を破壊してしまいたいが、勝機が見えるまでは下手に分散もできない。

「この個体はあと少しでどうにかなりそうだな。奥の二体もそろそろ処理を始めたい」
「奥の二体は物理ダメージが通るんだったね。なら頃合いをみて皆で移動しよう」
「もう少し人手があれば退路の確保に残せたが致し方あるまい」

 マーリンの持つ公式チートとも呼ばれる性能の味方支援スキルだけでなく、ルイス王子の支援スキルも相まって戦闘はスムーズに進んでいる。
 俺には更に【翠緑の抱擁】の効果でミシェルからもバフを貰えているから、これまでに見たことない数値が並んでいる。命中率125パーセントとか兵種が狙撃手《スナイパー》でもない限り見られない数値だろう。攻撃が外れる気がしない。

 最初の一体が倒れ魔方陣が破壊されたのを確認すると、ルイス王子の号令で奥に居るもう二体の屍竜を目指す。
 先行したフェオが神弓から矢を放つと弧を描いて飛んでいく。それが額を射ったのか神気で光ったお陰でマーリンの軍師の眼にはっきりと姿を映すことが出来たようだ。

「いま射貫いたほうは魔法攻撃を無効化する個体のようだ。アンデッド召喚の屍竜は後回しにしてこちらを先に攻める」

 魔導士勢には他の魔物の処理を任せることとなり、俺はそちらの壁役に駆り出されることとなった。

「ミシェルの火力を増やすのと、魔導士みんなの物理盾なら任せろ」

 アンデッドはフェイス様とマーリンの魔法属性に特攻が乗っているから攻撃面では良しとしても、やはり魔導士たちだと物理防御が心もとないのだ。
 原作ゲームのエリアスでは中途半端なステータスで無理そうだが、今の俺なら恐れる必要もない。
 俺はスキルを最大限生かし、相手の攻撃を待ちカウンターで仕留める。やっつけ負けしないスキルって大事だな。

「さあ、どんどん倒しますわよ!」

 なんだかすごく張り切っているミシェルを護るように戦っているのだが、その戦いっぷりは凄まじいとしか言いようがない。
 まず敵の攻撃がかすりもしていない。しかしミシェルの攻撃はまったく外れていないどころか、おそらく90パーセントくらいの確率で必殺《クリティカル》が出ている気がする。
 ルイス王子からは少し離れてしまっているので貰えるバフは減っているはずなのだが、俺とマーリンからのバフだけでこれだけ大暴れするとは。俺の推しは強くて美しいのだ。

「ふむ。やはり才能が違うな」
「マーリンがそういうなら、昔から凄かったんだろうな」
「あれは魔導に対する理解力が可笑しいからな。この短期間で神氷の術式を解析したうえで改良したようだ。連撃と貫通の効果を増やしている」

 あまり距離を開けなければミシェルの援護は必要なさそうだ。ラーグは風魔法の効果で回避率が高くなっているし、マーリンはそこそこ物理防御も高い。
 フェイス様は物理防御が低いので壁役が必要なのだが、そちらは護衛向けスキルを持つオブシディアンが担当してくれているので心配無用のようだ。

 離れた場所にいる未だ無傷の屍竜が召喚したアンデッドと魔法陣の魔物を数えきれないほど倒したところで、大きな音を立てて魔法ダメージ無効の屍竜が倒れた。どうやらルイス王子が止めを刺したようだ。

「これで二つ目の魔法陣を破壊した。あと一つを破壊したら残るは邪竜ロキだけだ。みんな油断せずに進もう!」
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